子どもは産んでいませんが。

結婚後20年、子なし、今後も子なし決定。子どもを産まなかった自分を憎まずに生きるのは難しいと思う今日この頃。

至福の瞬間

今年もツール・ド・フランスが始まりました。約3,500㎞を3週間かけて走りきるこの自転車レース、毎年放送を楽しみにしています。私も趣味でロードバイクに乗りますが、坂道が大の苦手なので、高低差2000mという過酷なコースを駆け抜けるプロレーサーに毎晩圧倒されています。

自転車に乗るようになってから、ツールはもとより、マラソンなど持久系のスポーツ中継をテレビで観戦するのが好きになりました。あぁつらいだろうなぁ〜などど想像しながら観るのも楽しいし、飛んだり跳ねたり手を叩いて大笑いしたりといったことがないので、画面を眺めていて疲れることがありません。

マラソンといえばラン、ランといえば私、5㎞走るのがやっとなのです。自転車(ロードバイク)なら50㎞超走りますが、ランは何度挑戦しても苦手。駅からの帰り道、走る人たちとすれ違うたびに羨ましく思います。

そんなランに対する憧れから読んだこの本、スポーツ中継のように淡々とつづられています。淡々と、といっても内容は過酷です。
「そう 、遅いからピザが欲しいんだ 。もうお腹が空いて死にそうだ 」 
「分かった 」 (長い沈黙をはさんで )
 「理解できたよ 。他に何を持っていこうか ? 」 「この町にスタ ーバックスはある ? 」 「あるけど 、もうとっくに閉まってると思うよ 。でも自分の豆をここに隠してあるからピザを焼いているあいだ 、コ ーヒ ーを作っておくよ 。 1 1 6号をそのままずっと走っていれば探して追い付くよ 」(ディーン・カーナゼス著「ウルトラ マラソン マン 46時間ノンストップで320㎞を走り抜いた男の記録」より)
これはウルトラマラソンに挑戦する筆者が夜通し走り続け、夜中の0時に走りながらピザハウスにピザを注文する場面です。320㎞走るともなると補給のレベルが違いますね。
「もの」は幸福をもたらさない 。僕の至福の瞬間は 、広く開けた道を走っている時だ 。僕の持ち物はシューズと短パンだけだ 。ランナーは多くを必要としない 。ソロ ーは 「人間の豊かさは 、何も持たずに何ができるかによる 」と言っている 。おそらく欲するものが少なくなればなるほど 、多くを得るのだ 。(ディーン・カーナゼス著「ウルトラ マラソン マン 46時間ノンストップで320㎞を走り抜いた男の記録」より)
シューズと短パンで幸せが得られるなんて、シンプルで潔くていいですね。